小学校高学年では、観る人の気持ちを意識する作品に成長している!
メトロポリタン美術館の会場に設けられた、ニューヨークの公立学校の生徒による作品展には、幼稚園から高校生までの入選作品が展示されています。昨日は小学校低学年の作品でしたが、今日は小学校高学年の作品を見ます。
一つ一つの作品には、作成した生徒の感想と指導者の先生のコメントが付けられてています。それらを読むことで、より一層作品にこめられたメッセージが伝わってきます。
今日のリーディングポイントは・・・
★作品を見て、なぜこの作品が入選したかを英語で考えてみよう。
です。
メトロポリタン美術館のホームページから、Exhibition Objectsをクリックして全作品を見ることができます。
The Look
その表情
Suaiba Syed
Grade: 4
Materials: Charcoal and graphite pencil
Teacher: Cindy Zhao
スアイバ・サイード
学年:4年生
材料:木炭と鉛筆
指導:シンディ・ザオ先生
STUDENT:
I want them to empathize with (~に共感する)the character and think about how she's feeling.
I like to make art because with art, I can express my feelings and ideas to the audience.
I would like viewers to notice how body language and facial expressions can convey a feeling.
生徒の感想:
(私の絵を)観て下さる人にはこの人物に感情移入し、彼女がどんな気持ちでいるのかを考えていただきたいです。
私はアートが好きです。アートによって自分の気持ちや考えを見る人たちに伝えることができるからです。
体の動きや表情がどんな気持ちを伝えることができるのか、絵を観て下さる方たちに気づいてほしいです。
TEACHER:
Students learned how to use light and dark to create shading. They chose a subject on which to demonstrate what they learned about value. Suaiba’s work The Look is a portrait drawing that consists of the inventive use of graphite pencil and charcoal through blending, mixing, and layering various shades to emphasize value.
先生のコメント:
生徒たちは、明暗を使って陰影を生み出す方法を学びました。そして、何が有効かについて学んだこと表すために何を題材にすべきかを考えました。スアイバの作品『The Look』は、鉛筆と木炭を独創的に使い、さまざまな陰影を組み合わせたり、混ぜ合わせたり、重ねたりして、もっとも伝えたいことを強調した肖像画になりました。
👩先生のコメントの中の"value"は、
the importance or usefulness of something(何かの重要性、あるいは有効性)
の意味だと思います。(定義はロングマンより)
Stream and Quiet Cabin in the Woods
森の中の小川と静かな小屋
Leo Zhou
Grade: 5
Materials: Watercolor and pen and ink
Teacher: Jessica Liang
レオ・ゾウ
学年:5年生
材料:水彩絵の具とペンとインク
指導:ジェシカ・リャン先生
STUDENT:
I love drawing and watercolor painting. I like how watercolor flows on paper and the effect it produces.
When people look at my artwork, I want them to feel calm and relaxed and like they were really in this scene. Making art is a calming (鎮める)activity for when I am feeling emotional. I feel proud of what I create and want to share it with others.
生徒の感想:
私は絵を描くことと水彩画が大好きです。水彩絵の具が紙の上を流れる様子や、それが生み出す効果も好きです。
私の作品を見た人が、その場にいるような気分で、穏やかでリラックスした気持ちになってくれたら嬉しいです。作品の制作活動は、感情が高まっている時に心を落ち着かせてくれます。自分が創り出したものに誇りを感じ、他の人にも見せたいと思っています。
TEACHER:
Leo’s painting was inspired by the Hudson River School(派). Students observed landscape paintings before beginning their watercolor landscapes. Time was spent observing and sketching landscapes before moving forward with painting. Introducing watercolors with pen and ink gave students an opportunity to extend their knowledge of both art media.
Leo showed a strong command (駆使する能力)of watercolor paint and ink. I was impressed by how he layered his watercolors to show depth(奥行き), and used pen and ink to create details and movement. It is a pleasure to watch students grow as artists and an even greater one to share the results of their artistic journey.
先生のコメント:
レオの絵画は、ハドソン・リバー派にインスピレーションを得たものでした。学生たちは風景画を観察してから、自分たちの水彩画の風景画にとりかかりました。制作に進む前に、観察とスケッチに時間を使ったのです。ペンとインクを使った水彩画を導入することで、生徒たちは両方の画材に関する知識を広げることになりました。
レオは水彩絵の具とインクを自在に使いこなしていました。水彩絵の具を何層にも重ねて奥行きを表現したり、ペンとインクを使って細部や動きを表現したりする様子に私は目を見張りました。生徒たちがアーティストとして成長していく姿を見るのは喜びであり、彼らの芸術を通して成長する姿を共有できることはさらに大きな喜びです。
👩ハドソン・リバー派は、ロマン主義の影響を受けた風景画家のグループによるアメリカ美術運動です。ハドソン川流域やその周辺地域がよく描かれていました。
日本では主要5教科といった言い方をして、芸術や体育が主要から外れているようですが、何が「主要」かを考えると、その言い方が正しいのかと疑問を持ってしまいます。芸術の指導をするのは、様々な教育の中でも子供たちの感性と表現力を育てるために、「主要」な位置にある分野ではないでしょうか。
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