Talking New York --- New Yorkで見つけた英語

発見と感動を与えてくれるニューヨークを英語学習に役立つコンテンツにして毎日お届けしています。

ニューヨークの"Ekiden"。"Station Messenger"という単語。

日本のお正月の一大イベントにもなっている、「箱根駅伝」。初めてこのイベントを企画した人は、ここまで日本の伝統としてとらえられるようになると思っていたでしょうか?


Ekidenは、そのまま英語として通じるほど、世界に広がっては来ているようです。でも、New YorkでEkiden大会はあるのか?New York シティマラソンについては、すでに書きました。→New York City Marathonってすごいです!参加することに意味がある! -


ヒーローの国アメリカでは、「タスキをつなぐ」という感覚、「使命感」とも言えるような根性、区間に対する「責任感」のようなものが、国民に受け入れられるのかと思い、調べてみることにしました。


ありました!New York "Ekiden"!
まずは動画をどうぞ。



America's EKIDEN RELAY-1988.mov


"leg"が何回も出てきたでしょ。「脚」ではなくて、"one part of a long journey or race"(長い旅、あるいはレースの一部分----ロングマン定義より)です。「タスキ」は"the sash"と英訳されていました。


お気づきのように、1988年開催でした。やはり日本と同じように、ニューヨークの伝統にはならなかったようです。2012には、"New York City Ekiden"が開催されたようですが、決められた区間を何人かで走る「リレーマラソン」のイベントのような感じで、ちょっと「駅伝」とは違うかな・・・。"a Ekiden relay race"と表現している方もいらっしゃいました。タスキを渡そうとした一人の女性がイヤフォンをつけていたため、それがたすきに引っかかり、なんとか外そうとしてiPodを落として壊してしまったとか・・・。楽しそうなイベントではありますが、日本の「箱根駅伝」のような熾烈さはないですね。( ´艸`)



ちょっと古いけど、"Ekiden"についてのニューヨークタイムズの記事をご紹介するわね。使ってある単語を楽しんで!

New York Ekiden: Pass-the-Sash Race

ニューヨーク・エキデン:タスキ渡しレース


By ROBERT MCG. THOMAS JR.      AUG. 13, 1987 


Ekiden, an ancient Japanese word that means ''messenger between stations,'' is Greek to most New Yorkers. But if Kazuo Aichi, the president of the recently formed International Ekiden Federation, and Hugh L. Carey, the former governor of New York and currently the president of the even more recently formed America's Ekiden Federation, have their way, it won't be long before the word is as familiar to American ears as ''marathon.''


エキデンというのは、古い日本の言葉で、「拠点と拠点を結ぶ配達人」のことです。ほとんどのニューヨークの人たちにとっては、一体何のことなのか分からない言葉ですね。しかし、最近結成された国際エキデン連盟会長の愛知和男さんと、前ニューヨーク州知事で、つい最近結成されたアメリカ駅伝現会長のHugh L.Carey(ヒュー・L・キャレイ)さんが動けば、ほどなくその言葉は「マラソン」と同じくらいアメリカ人の耳になじんでくるでしょう。


In modern Japanese, ekiden refers to a multistage relay road race in which runners pass a sash instead of a baton. According to tentative plans announced yesterday, New York City will be the site of the first ekiden outside Japan on April 9, a five-stage, 50-kilometer relay with legs of 15, 12, 10, 8 and 5 kilometers through the streets of Manhattan.



近代日本において、エキデンは区間の長さが異なるロードリレーであり、その中で走る者たちがバトンではなくタスキを渡すのです。昨日発表された試案によると、ニューヨークが日本以外で行われる最初の地になるということです。4月9日開催予定で、50kmを5つの区間に分け、それぞれの区間が15km、12km、10km、8km、5kmとなっていて、マンハッタン街を駆け抜けます。


Fred Lebow, the president of the New York Road Runners Club, who is coordinating the event, said the New York City Ekiden will be designed to attract teams of top runners from all 50 states, plus elite national teams representing half a dozen or so nations, including the United States, Japan, South Korea and as many European countries as can be persuaded to form teams. 'Complicated Race'


ニューヨークロードランナークラブ会長の、Fred Lebow(フレッド・レバウ)さんがこの催しをコーディネートしました。彼によると、ニューヨークシティエキデンには全50州からトップランナーのチームが参加し、そのほかナショナルチームとして、アメリカチーム、日本チーム、韓国チームが含まれ、そしてヨーロッパからは要請を了承したできるだけ多くの連合チームが参加する予定だということです。「複雑なレース」ですね。


''This is the most complicated race we've ever undertaken, and outside of the New York City Marathon, the most ambitious,'' Lebow said as he joined Aichi, Carey and Alvin Chriss of The Athletics Congress at a news conference announcing the race.


レースに向けての記者会見で、レバウさんは、愛知さん、キャレイさん、アスリート団体のアルヴィン・クリスさんと共に活動し、「このレースは我々が今までに手掛けたうちでもっとも複雑なレースですが、ニューヨークシティマラソン以外で、もっともワクワク感があります。」と述べました。


Aichi, a member of the Japanese parliament who heads the education committee, which has jurisdiction over sports, said he had conceived the idea of using ekidens to promote international friendship. He noted that ekiden had become a formal sport in Japan in 1917, when a race was held to commemorate the 50th anniversary of the transfer of the Japanese capital from Kyoto to Tokyo.


日本の国会議員で、スポーツ振興を手掛ける教育委員会長である愛知和男さんは、国際親善を進める上でエキデンがいい働きをしてくれるだろうと思ったと述べました。彼によるとエキデンは1917年に京都から東京へ首都が変わって50周年を記念して行われた1917年に、日本で正式なスポーツになったそうです。


Aichi said that New York had been chosen for the first ekiden outside Japan because it was Tokyo's sister city.


愛知さんは、ニューヨークは東京の姉妹都市だから、初めて日本以外の地での開催が決まったのだと述べました。



''messenger between stations" は文字通りの英訳だけど、「この便りを何としてでも届けなければ・・・」という飛脚の使命感を、日本の伝統的な「駅伝」に感じるのです。 ただの「リレーマラソン」じゃない。そうした所に日本人は引き付けられ、多くの人が応援し、走者は青春をかけるのでしょう。


それをニューヨークにもってきて、国際親善に役立て、新たなEkidenを国際的に広めようとする力は大きいと思いますが、Ekidenという英語になった時点で、「駅伝」ではない、別のスポーツジャンルに変化したように感じました。


補足ですが・・・。
ここに載っている、日本人の愛知和男さんは、この「ニューヨークエキデン」の3年後に、海部内閣で環境庁長官に任命され、初入閣されています。その後、1992年には羽田派の政策責任者を務められました。1993年には自民党を離党して、新生党結党に参加てされたそうです。細川内閣では、防衛庁長官。1997年に新進党を離党して、自民党に復党された方だそうです。


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