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ブレナン判事のウォレン主任判事のミランダ判決に対するコメント。

アーネスト・ミランダ判決のおさらいからです。


アーネスト・ミランダが、強姦罪・誘拐罪で逮捕された。
黙秘権があること、弁護人を同席させる権利があることを告げられなかった。
ミランダは、自白内容を根拠にアリゾナ州裁判所で有罪判決を受けた。
公選弁護人ジョン・J・フリンはアリゾナ州最高裁判所に控訴。
アメリカ合衆国最高裁判所長官のアール・ウォーレンは、ミランダの自白は、黙秘権をや弁護士要請の権利を放棄してなされたものではないとして、有罪判決を破棄した。


このことがあってから、刑事事件で犯人逮捕の際にいわゆる「Miranda Rights」を読み上げるようになったというわけです。(Miranda Rightsの内容はこちら。)


ブレナン判事のことについて書かれていた英文の一部です。(こちらから引用。)


On the Supreme Court, Brennan was known for his outspoken progressive views, including opposition to the death penalty and support for abortion rights.


最高裁判所において、ブレナンは歯に衣着せぬ物言いをする進歩的な見方をする人として知られていた。死刑反対、中絶賛成派であった。


William J. Brennan     


以下は、Warrenが書いた、
MR. CHIEF JUSTICE WARREN delivered the opinion of the Court. 
主任判事のウォレンが法廷で述べた意見


の冒頭部分です。全部で24ページあります。(赤字はMisTyによるものです。)


The cases before us raise questions which go to the roots of our concepts of American criminal jurisprudence: the restraints society must observe consistent with the Federal Constitution in prosecuting individuals for crime. More specifically, we deal with the admissibility of statements obtained from an individual who is subjected to custodial police interrogation and the necessity for procedures which assure that the individual is accorded his privilege under the Fifth Amendment to the Constitution not to be compelled to incriminate himself.


我々の前にあるこのケースはアメリカの刑法学の概念の根幹となる問題を提起しているものです。つまり、個人が犯した罪を起訴する際に合衆国憲法に則して法曹界は人ができることを抑制できるという原則を持たねばならないいということです。具体的に言うと、我々は拘束されて警察の尋問を受けている個人から得られた供述の信憑性に向き合うこと、そしてその個人が自らを有罪にするようなことを強要されているのではなく、憲法修正第五条の下で扱われているということを本人に伝えることの必要性に向き合うということです。


そして次は、1966年5月11日、ブレナン判事が書いたウォレン主任判事のミランダ判決に対するコメントです。(こちらから引用しました。)



Dear Chief:
I am writing out my suggestions addressed to your Miranda opinion with the thought that we might discuss them at your convenience. I feel guilty about the extent of the suggestions but this will be one of the most important opinions of our time and I know that you will want the fullest expression of my views.
I have one major suggestion. It goes to the basic thrust of the approach to be taken. In your very first sentence you state that the root problem is “the role society must assume, consistent with the federal Constitution, in prosecuting individuals for crime.
I would suggest that the root issue is “the restraints society must observe, consistent with the federal Constitution, in prosecuting individuals for crime.
(文字の色はMisTyによって変えられています。)


主任判事殿
私は、いつかご都合がつきましたらミランダ判決についてお話しできるであろうと思い、あなたのご意見に対して私の考えを書いておきます。私が申し上げる提言が言いすぎであれば誠に申し訳ないのですが、こうしたことは我々の在任期間の非常に重要な論点となって行くことでありましょうし、自分の見解についてきちんとお伝えしておかなければならないと思っております。
私は一つ申し上げたいことがございます。それは判決に至る過程でなされるべきことの基本的な推進力になるからです。あなたは判決の冒頭で根本として根本的な問題は、「犯した罪により人を起訴する場合には、合衆国憲法に沿って、法曹界はその役割を担わなければならない」点だと述べられました。
私は次のように提言したいと思います。根本として重要なことは、「犯した罪により人を起訴する場合には、合衆国憲法に沿って、法曹界は人ができることを抑制できるという原則を持たねばならない」であると。


"restraints"が、可算名詞複数形になっていることで、ロングマンの定義である、"a rule or principle that limits what people can do"と理解して訳しています。


前回、アーネスト・ウォレン主任判事のミランダ判決のことを書きましたが、ブレナン判事は、彼の裁定に賛成するも、少々彼の見解とは異なる見解を持っていたことを伺わせます。最初の赤字に変換した部分(ウォレンが判決の冒頭で述べた部分)は、最初に載せた
"MR. CHIEF JUSTICE WARREN delivered the opinion of the Court."(主任判事のウォレンが法廷で述べた意見)にある赤字の部分と同じです。


また、ブレナン文書は1966年5月11日と記されていますが、実際のミランダ判決は、1966年6月13日です。 ということは、ウォレン判事が見解をのべた文書を公表する以前にブレナン判事は、その内容を読んでいたということになります。その上で進言したということです。ブレナン判事の進言どおりにウォレンは見解を書き換えたということでしょうか・・・?


この部分の、"assume the role"と"observe the restraints"や、"the root problem"と"the root issue"の解釈については、アメリカの法学部の学生に教授が解釈の意見を述べさせています。日常的に使う言葉でも、法学的に解釈すると違うニュアンスをもつ場合があります。ここでは、あくまでMisTyの解釈によるということでご理解ください。


MisTy

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