ニューヨークの本屋はなくなるか?老舗、STRANDで考える。
ニューヨークに行ったら必ず行く店があります。それは、本屋さん。ニューヨークには、STRANDという老舗の本屋さんがあります。今から90年以上前から続いています。
欲しい本は大抵ネットで便利に注文できる時代ですが、本屋に出かけて、色々な本に出会うのも楽しいものです。STRANDはいつ行っても多くの人で溢れています。
「紙の文化はなくなるのか?」というテーマは、ディベートでよく取り上げられますし、高校のテキストでも取り上げられている内容です。
DOWNTOWNというニューヨークの地元紙に興味深い記事がありましたので読みます。
t
The Strand’s Struggle Against Landmark Labeling
歴史的建造物とレッテルを貼られることに対するストランドの苦悩
By Jake Attias
For nearly 100 years, Strand has been the most beloved independent bookstore in NYC. Boasting “18 miles of books,” it has weathered economic shifts, the rise of e-books, and competition from Amazon. It has also hosted celebrity events and made cameos in several movies. Strand’s pedigree made it a cultural hot spot. Now, the city’s Landmark Preservation Commission wants to make it official by declaring the building, located at 826-828 Broadway, a city landmark.
およそ100年の間、ストランドはニューヨークで最も愛されてきた書店だった。「18マイル(約30km)の本」を誇るこの書店は電子本の台頭、アマゾンとの競合という経済的変動の荒波を乗り切ってきた。ストランドはまた、有名人を迎えてイベントをやったり、映画のいくつかのシーンにチラッと映ったりしていた。ストランドは代々受け継がれてきた家系の血統書付き文化的ホットスポットだったのだ。今はブロードウエイの826~828番地にあるその建物を、歴史的建造物保存協会がニューヨークの歴史的建造物として指定して、文化的ホットスポットとして公にアピールしたいと考えている。
There’s one problem — Strand doesn’t want to be landmarked. The bookstore claims this designation would provide big trouble in the long run. At worst, they believe this could destroy their longstanding business. Could a simple act of appointment spell doom for this downtown literary mecca?
ひとつ問題がある。それは、ストランドは歴史的建造物になりたがってはいないということだ。この書店は、この指定を受けてしまうと、いずれ大きなトラブルになるだろうと主張しているのだ。最悪、長い間続いてきた商売を崩壊させてしてしまう恐れがあるに違いないと確信している。たったひとつの指定が呪いのように文字通りダウンタウンの本好きのメッカにのしかかることになるのだろうか?
Future Perils For Strand
ストランドに潜む将来的危険性
Strand’s biggest concern is that increased regulations and restrictions will limit flexibility and increase costs for maintenance or renovations. “While well-intended, landmarking the building would make it more difficult to update and repair the building–that includes things like a fire or flood,” says Strand’s Communications Director, Leigh Altshuler. The Strand also plans on reconfiguring the store and adding a coffee shop in the future. However, they fear the extra bureaucracy will be too slow and costly.
ストランドが最も心配しているのは、歴史的建造物に指定されると修繕や改修の頻度に制限がかかり、そのコストも上がるのではないかということだ。「保存する試みはいいように思えても、実際この建物を歴史的建造物にするというのは、リフォームしたり改修したりすることがそう簡単にいかなくなるんですよ。火事や洪水のようなことが起こった場合も含むんですよ。」とストランドの主席広報担当のレイ・アルツァラーは言う。ストランドはまた、将来店を改築してカフェを併設する計画をもっている。しかし、行政手続きが余計にかかり、すごく時間がかかって費用もかさむと心配している。
According to data provided by Strand, the number of bookstores in NYC has dropped 79.5% since 1950. The rise of online shopping and e-books created a harsh environment for bookstores. In fact, as of 2018 Strand is one of 79 bookstores left in NYC.
Meanwhile, Amazon’s existence is a major threat to Strand’s sales. The planned Amazon HQ in Astoria already spells trouble for local retailers. Unlike Amazon, Strand doesn’t ask for tax breaks or taxpayer funded subsidies. Instead, they simply want to operate as usual without extra oversight.
ストランドのデータによると、ニューヨーク市の書店の数は1950年以来79.5%減っているという。オンラインショッピングと電子本の伸びが書店にとっての厳しい環境を作り上げたのだ。実際2018年現在、ストランドはニューヨーク市に残っている79の書店のうちの一つである。そんな中、アマゾンの存在はストランドの売り上げに大きな脅威となっている。アストリアに計画中のアマゾン本社建設はすでに地元の小売店に混乱の嵐をもたらした。ストランドはアマゾンとはことなり、減税や税金を基にした助成金を求めてはいない。ただ過剰な監視の目を意識せず、通常の経営をしたいと思っているだけなのだ。
“…Strand knows this is a well-intended effort. However, this scenario, much like this business, is unique. There are certainly businesses that would benefit from this kind of status — just not Strand,” says Altshuler.
「ストランドは、指定の動きは善意からきていることはわかっている。しかし今回の話は、書店ビジネス同様、普通とは違う内容をはらんでいる。こうした指定を受けることで利益を得るビジネスがあることは確かだが、ストランドはそうではない。」とアルツァラーは言う。
The Ongoing Debate
現在起こっている議論
While Strand frets over this potential death sentence, the LPC urges them to see it differently. “The Landmarks Preservation Commission will continue to work with the owner of 826 Broadway and the Strand bookstore to address her concerns and ensure that this cultural institution endures,” says Zodet Negrón, Director of Communications at the LPC. “LPC successfully regulates thousands of commercial buildings across the city, and we are sympathetic and responsive to their needs.”
ストランドは今回の死刑宣告ともなりうる事態にイライラをつのらせている一方で、LPCは見方を変えるよう促している。「LPC(The Landmarks Preservation Commission---歴史的建造物保存委員会)は、ストランドの懸念を受け止め、この文化建築が無くなることのないよう、今後もブロードウエイ826番地とストランド所有者と連携して動いていくつもりだ。LPCは、市全体に何千とある商業施設に対する規制をうまく行ってきた。自分たちは彼らの想いを理解し、彼らのニーズに応えている。」とLPCの広報責任者であるゾデット・ネグロンは述べた。
The choice to designate Strand is the result of a survey of the area south of Union Square. Aside from being home to the bookstore, the LPC has deemed 826 Broadway as culturally significant for ties to the garment district, labor movements, and women’s rights.
A public hearing was held on December 4th to debate the designation. Because no conclusion was reached, the LPC will hold a second public hearing at the request for more time. “We were lucky to be joined by Strand friends, staff and employees on December 4th,” says Altshuler. “Now it is just a waiting game.”
ストランドを指定建造物にするという選択は、ユニオンスクェアの南の地区の調査結果に基づいている。ストランドが居を構えているエリアであることを別にして、LPCはブロードウェイ826番地をファッション・ディストリクトや労働運動、女性の権利と関連した文化的に需要な場所だと考えてきた。
12月4日に開かれた公聴会では、指定をめぐる議論がなされた。結論に達しなかったので、もっと時間が必要という要求を踏まえて、LPCは第二回目の公聴会を開くだろう。「12月4日には、幸運にもストランドの常連客やスタッフ、社員の方達に出席していただける。これは根比べです。」とアルツァラーは言った。
実はこれは、去年の12月の記事。歴史的建造物として指定されることへの懸念を表明したSTRANDの第二回公聴会は、2019年6月に開かれています。そして、さらに10月にも。。。さて、どのように進んだか、次回、ご報告します。(次だけで、終わるかな-。)
Englishラボ
MisTy