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一部の家主は、マムダニ氏の家賃凍結の公約に懸念を抱いている

MisTy

毎月払う家賃が凍結(次の更新までですが。)sれるというのは、月初めの請求書を見る一種の恐怖感から逃れられるでしょう。しかし、特に小規模の賃貸住宅の家主さんはどう感じているでしょうか?


今日は低価格住宅の家主さんの懸念についてです。(昨日の6sqftの記事の続きになります。)



How landlords(家主) are responding

家主たちの反応


Even before Tuesday’s election, landlords voiced concern about Mamdani’s potential win, citing(言及する) his proposals to raise taxes on the wealthy and freeze rents for stabilized(固定する) tenants.


火曜日の選挙前から、家主たちはマムダニ氏の当選可能性に懸念を表明していました。富裕層への増税や家賃規制対象テナントへの家賃凍結を提案している点を理由に挙げています。


According to Politico, some landlords fear that freezing rents on stabilized apartments could lower the value of rent-stabilized properties and reduce available capital for repairs and renovations, leaving more homes in disrepair(荒廃). The problem could worsen as a growing share of multifamily buildings faces physical and financial distress(困窮) due to inflation and higher interest rates(金利) since the pandemic.


(政治専門情報サイトの)ポリティコによれば、一部の家主は、家賃規制対象アパートの家賃凍結が規制物件の価値を低下させ、修繕・改修資金を減少させる恐れがあり、このことで荒廃した住宅が増加する可能性があると懸念しています。パンデミック以降、インフレと金利上昇により、物理的・財政的苦境に直面している集合住宅が増えていることから、この問題はさらに深刻化する恐れがあるのです。


These issues could indiscriminately(無差別に) affect smaller landlords, said Ann Korchak, board president(委員長), and Lincoln Eccles, board vice president of the Small Property Owners of New York, in an official statement.


ニューヨーク小規模不動産所有者協会のアン・コーチャック会長とリンカーン・エクルズ副会長は公式声明で「これらの問題は小規模家主たちの誰にも影響する可能性がある」と述べました。


Korchak and Eccles said they are determined to show Mamdani that small property owners are partners in creating affordable housing—”the Black, brown, immigrant and culturally diverse New Yorkers that are part of his new age that he defines by a ‘competence能力) and compassion(思いやり)’ that he correctly says have ‘too long been placed at odds(対立して) with one another.'”


コルチャック氏とエクルズ氏は、マンダニ氏に対し、小規模不動産所有者たちは手頃な住宅供給の協力者であることをはっきり表明していると言いました。「黒人、有色人種、移民、多様な文化的背景を持つニューヨーカーこそが、マムダニ氏が『能力と思いやり』の時代と定義する新時代の担い手であり、彼の言うとおり『長きにわたり対立させられてきた。』と強調しました。


The two called the rent freeze “affordable housing Armageddon(破滅をもたらす戦争)” for both tenants and landlords, urging Mamdani to let the Rent Guidelines Board continue setting rent adjustments based on its data. They also pressed the mayor-elect to provide small property owners with the resources needed to maintain their buildings and deliver quality, affordable housing.


両氏は家賃凍結の公約は賃借人と家主双方にとっての「低価格住宅問題のアルマゲドン(最終戦争)」と表現し、マムダニ氏に対し家賃ガイドライン委員会にデータに基づく家賃調整を継続するよう要請しました。さらに、小規模不動産所有者が建物を維持し、質の高い手頃な住宅を提供するための必要な資源金を提供するよう強く求めています。


👩🏼‍🏫ニューヨーク市は、2019年住宅安定化・賃借人保護法(HSTPA)の制定により、"rent-stabilized apartment"(家賃安定アパート)の賃借人は、当初の賃貸借契約と同条件の更新契約を締結する権利を有しています。


今後、ニューヨーク市の住宅問題がどの方向に向かっていくのか、注視していきたいと思います。



Englishラボ

MisTy

低所得者住宅建設の迅速化に対して市民は賛成、しかし市議会は反対。なぜ?

MisTy

昨日の6sqftの記事の続きになります。今日は低価格住宅建設時迅速化について、市議会が提案の多くに反対していることについてです。


本文に入る前に、ここで問題になっている、低価格住宅建設に関する4つの提案のうち、提案2について、その内容を見ておきたいと思います。



Question 2: Fast Track(迅速な対応) Affordable Housing to Build More Affordable Housing Across the City

This proposal establishes faster public processes for developing affordable housing. It first creates a new action(新しい行動) within the Board of Standards and Appeals to grant(許可する)zoning relief(緩和) for publicly-financed affordable housing projects.

The measure(方策) will introduce a new, streamlined(効率化する) public review process for applications that deliver affordable housing in community districts that have built the least.


提案2:手頃な価格の住宅を迅速に建設し、市内全域でより多くの手頃な価格の住宅を供給する


Yes (賛成) ⇒ 51.3%

No (反対) ⇒ 41.7%


この提案は、手頃な価格の住宅開発のための公的手続きをより迅速に進めるものです。まず、公的資金による手頃な価格の住宅プロジェクトに対してゾーニング規制の緩和を認める新たな権限を基準上訴委員会内に創設します。

この措置により、住宅供給が最も遅れている居住地区において、手頃な価格の住宅の申請案件を対象とした、新たな効率化された公的審査プロセスが導入されることになっています。


👩🏼‍🏫低所得者住宅の建設が速く進むということは一見いいことのように思えるけれど、自分の選挙区でそうした住宅が多く建設されることが決定されると地価が下がる、環境がかわるなど、心配する市民が反対するでしょう。建設の決定権限を市議会ではなく新しく創設される委員会が持つとなれば、住民の意向に関わらず地域の風景が変わってしまうかもしれません。そうした選挙区から選ばれた市議会議員としては、自分は選挙区民の代表なのに市民の意見が届かないことに無力感を感じるでしょうし、次の選挙に当選できないかもしれないという心配も生まれるでしょう。



The City Council opposed the measures

市議会はこれらの措置に反対した


The City Council firmly opposed three of the four housing ballot questions, arguing that the measures would significantly weaken its authority(権限) over land use decisions. The body(組織) did not take a position (判断する)on Question 5.


市議会は、住民投票の中の4つの住宅関連住民投票案のうち3つに強く反対し、これらの措置が土地利用決定に関する議会の権限を著しく弱めると主張しました。議会は第5項については立場を表明しませんでした。


In the days leading up(~につながる) to Tuesday’s election, the Council launched a campaign urging New Yorkers to vote “no” on the proposals, sending thousands of mailers to city households warning that the measures would “take away your power” and result in “less affordable housing and more gentrification,” according to Crain’s.


火曜日の投票日を前に、議会は提案への反対投票を呼びかけるキャンペーンを開始しました。クレインズ誌によれば、数千通の郵便物を市内世帯に送付し、これらの措置が「住民の権限を奪い」「手頃な住宅の減少とジェントリフィケーション(富裕層が都心に流入する結果、低所得者層が家賃の低い場所を求めて中心部から離れていく現象)の加速」をもたらすと警告し、提案に対し“no”に投票するよう要請しました。


👩🏼‍🏫ジェントリフィケーションについてはこちらでとりあげています。


フルトンハウスが壊される?やはりジェントリフィケーションの影響か? - Talking New York 


フルトンハウスの記事を読む。デブラシオ市長は本当にこれが最善策だと思っているのか? - Talking New York 


For the first three questions, the Council said that the measures “take away communities’ power to ensure proposed development includes more affordable housing and investments to support the needs of their neighborhoods, like parks, public transit, and schools.”


最初の3つの提案について、市議会は「この措置は、提案された開発計画に、より多くの手頃な価格の住宅と、公園、公共交通機関、学校など地域のニーズを支える投資が含まれることを確実にしようとする地域の権限を奪うものだ」と言っています。


Ethics(倫理) experts have since told Crain’s that the campaign may have violated a city law prohibiting the use of government resources to influence voters on a referendum (住民投票)


倫理専門家はその後クレイン誌に対し、今回の宣伝活動が住民投票で有権者(の判断)に影響を与える政府資金利用を禁じる市の条例に違反した可能性があると指摘しました。


In response to the ballot measures’ approval, City Council spokesperson Benjamin Fang-Estrada issued a statement calling the proposals “misleading” and warning that they would “weaken democracy.”


投票案の可決を受け、市議会広報担当ベンジャミン・ファン=エストラーダは声明を発表し、提案内容を「判断を誤らせるものだ」と批判するとともに「民主主義を弱体化させる」と警告しています。


“New Yorkers desperately(必死に) need more housing that is affordable to them, but the solution isn’t to take away communities’ power to secure more affordability and essential public goods from developers and the City,” Fang-Estrada said.


ファン=エストラーダ氏は「ニューヨーカーは手頃な価格の住宅を切実に必要としている。解決策は開発業者と市から、さらに手ごろで重要な公共のものを確実に自分たちのものにしようという地域の力を奪うことになってはならない」と述べました。


He added: “These misleading ballot proposals permanently change the City’s constitution to weaken democracy, lasting beyond the next mayor when we inevitably(必然的に) have a mayor who is bad on housing, equity, and justice for communities.”


彼はさらに次のように述べています。「これらの判断を誤らせる住民投票提案は、民主主義を弱体化させるために市の憲法を恒久的に変えるものであり、地域社会のための正しい住宅政策、公平性、公正さにおいて問題のある市長が必然的に誕生し、次期市長の任期が終わったあとも続く。


👩🏼‍🏫ニューヨーク市には、市の"constitution"(憲法)があります。



Jim Whelan, president of the Real Estate Board of New York (REBNY), whose members mostly opposed Mamdani’s campaign, issued a statement congratulating the mayor-elect and pledging(誓う) to work with him to address the city’s housing challenges, according to Crain’s.


クレインズ誌によると、ニューヨーク不動産協会(REBNY)のジム・ウィーラン会長は、同協会の会員の大半がマムダニ氏の選挙運動に反対していたにもかかわらず、次期市長を祝福する声明を発表し、市の住宅問題に取り組むために協力することを約束しました。


“REBNY is prepared to work with the next mayor to address the issue of housing affordability and other challenges facing our city,” Whelan said.


「REBNYは次期市長と連携し、住宅の価格問題や市が直面するその他の課題に取り組む用意がある」とウィーランは述べています。



👩🏼‍🏫民主主義は、必ず賛成と反対の声の両方が出てきます。どちらかが絶対に正しいということはなく、賛成と反対の差がかなり小さいこともあります。そういった状況では、双方が納得できる解決策を出すためには、当然時間がかかるでしょう。


今回の住民投票は、低価格住宅の建設を迅速に進めるためのものでありながら、一方で一部の民意が反映されない危うさもあることが分かりました。6sqftは不動産情報サイトとして開発賛成側に立つのが当たり前と思いがちですが、今回の記事では開発を迅速に進めるための住民投票となりうる危うさに注目したと言えると思います。



Englishラボ

MisTy

低価格住宅に関する住民投票の提案の英語は解説がないと分かりにくい!

MisTy

昨日のブログの後半になります。ニューヨーク市の低価格住宅について、不動産情報サイトの6sqftの記事を読んでいます。



Question 3: Simplify Review of Modest(小規模な) Housing and Infrastructure Projects 


提案3:小規模住宅・インフラプロジェクトの審査を簡素化する


This proposal creates a new, simplified review process for select land use changes, including modest increases in how much new housing is allowed, the acquisition(取得)and disposition(処分)of land to facilitate affordable housing, and urgently-needed(緊急に必要とされた)climate resiliency(回復力) projects.


この提案は、特定の土地利用変更の新しい、簡素化された審査プロセスを創設するものです。その中には、小規模な新規住宅建設はどのくらいまで認められるか、手頃な価格の住宅供給促進のための土地取得や処分について、そして緊急を要する気候変動に対応するプロジェクトなどが盛りこまれています。


👩🏼‍🏫56.8%の市民が賛成しました。



Question 4: Establish an Affordable Housing Appeals Board(上訴委員会) with Council, Borough, and Citywide Representation  


提案4:区長、市議会議長、市長で構成される手頃な価格の住宅に関する上訴委員会を設置する(ことに賛成ですか?反対ですか?)


👩🏼‍🏫この提案には市民の58.3%が賛成しました。


This proposal establishes a new Affordable Housing Appeals Board composed of the borough president, the City Council speaker, and the mayor. The board would replace the mayor’s veto(拒否権) at the end of the Uniform Land Use Review Procedure (ULURP) for projects that create affordable housing.


この提案は、区長、市議会議長、市長で構成される新たな手頃な価格の住宅に関する上訴委員会を設置するものです。同委員会は、手頃な価格の住宅を創出するプロジェクトに関する土地利用審査手続き(ULURP)の最終段階で市長の拒否権に代わる役割を担うものです。


The Appeals Board could overturn (覆す)City Council decisions on certain land use matters, but only with agreement from at least two of its three members. In response to public feedback, officials revised(修正する) the proposal to apply exclusively (限定的に)to projects that produce affordable housing rather than all land use applications.


上訴委員会は特定の土地利用問題に関する市議会の決定を覆す権限を持っていますが、3人の委員のうち少なくとも2人の合意が必要です。市民からの意見を受け、当局は提案内容を修正し、対象を全ての土地利用申請から低所得者向け住宅を供給するプロジェクトに限定しました。


👩🏼‍🏫この提案には、58.3%の市民が賛成しました。



Question 5: Create a Digital City Map to Modernize City Operations 

提案5:市政運営の近代化に向けたデジタル都市地図の作成


This proposal consolidates(統一する) the official city map—a little-known but vital tool for approving housing and infrastructure projects—into a single, digitized map. Currently, the city’s mapping system consists of five separate sets, one for each borough, totaling more than 8,000 individual paper maps.


この提案は、住宅・インフラプロジェクト承認に不可欠ながらあまり知られていない公式都市地図を、単一のデジタル地図に統合するものです。現行の市の地図作成システムは5つの区ごとに別々になっており、合計8,000枚以上の紙の地図になっています。


👩🏼‍🏫73.3%の市民が賛成しました。



ここからは、6sqftで取り上げられていなかった、提案1と提案6について、CBSニュースに書かれていましたので、それを読みます。

こちらからです。

NYC residents voted on 6 ballot proposals. Here's what they say, and why some aren't so simple. - CBS New York


Ballot Proposal 1: Amendment to Allow Olympic Sports Complex in Essex County on State Forest Preserve Land

提案1:(ニューヨーク州の)エセックス郡における州有林保護区へのオリンピック競技施設建設を許可する改正案について


👩‍🏫この提案1は、アディロンダック森林保護区内の323エーカー(約130ヘクタール)に新たなスキーコースと施設を建設することを認可するものです。建設に関しては州がアディロンダック公園に2,500エーカー(約101ヘクタール)の保護森林を追加することを義務付けています。森林保護区内のことについては州憲法の改正が必要なので、今回の市の選挙に含まれたようです。(その他の提案はニューヨーク市に限定したものです。)


住民投票では、52.1%が賛成しました。



Ballot Proposal 6: Move Local Elections to Presidential Election Years to Increase Voter Participation

提案6:有権者参加率向上のため地方選挙を大統領選挙年に移行することについて


Voter turnout has long been discussed as an issue, and so-called "off year" elections contribute to lower turnout (投票率低下). Under the current system, citywide elections are held on odd-numbered years(奇数年), and federal elections take place during even numbered years(偶数年) . 

                                                                                                           

投票率は長年の問題になっていて、いわゆる「オフイヤー選挙」は投票率低下の一因になっています。現行制度では、全市選挙は奇数年に、連邦選挙は偶数年に実施されています。


👩🏼‍🏫市長選挙では投票率が低いので、大統領選挙と同じ年に実施すれば高い投票率を狙っての提案のようですが、住民の53.1%が、Noに投票しました。



低所得者住宅の建設については、住宅価格の問題やゾーニング計画の変更など、他の問題も関わってくることから、新政権にとって賛成と反対の意見にどう対応していくのか、成り行きが注目されます。



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