ウォールストリート・ジャーナルはA.I.の最大の課題に言及。
ウォールストリート・ジャーナルで、「AI革命はすでに勢いを失いつつあるのか」という記事を読んでいます。
今回は、自分の(他から得てすでに持っている自分の)情報をもとにして、書かれている内容を予想したり、自分の考えと比較したりしながら読んでいくことを目標にしています。英文をただ目で追っているだけではなく、内容を理解しながら速読し、自分の知識の幅を広くする読み方です。
今日読む部分の小見出しはこれです。
AI could become a commodity (日用品)
AIは日用品になりうるだろう
👩"commodity"というのは、ロングマンによると次の2つのとらえ方があります。
⓵ a product that is bought and sold → 「商品」
⓶ formal a useful quality or thing→ 「役に立つ性質またはもの」
つまりAIは必要となったら、簡単に買えたり、そのことで今までの生活に欠かせないものになったりしていく、といういわゆる「便利グッズ」のようになっていくだろう、ということです。
👩💻内容の予測
●A.I.が日用品のように、安く買えるものになるかについて書いてあるだろう。
●A.I.にかかるコスト削減のことが書いてあるだろう。
この予測に対する答えがあったと思ったら、その部分をしっかり読みましょう。(本文中には下線を引いておきます。)
A mature technology is one where everyone knows how to build it. Absent profound(かなりの) breakthroughs—which become exceedingly rare—no one has an edge (優位性)in performance. At the same time, companies look for efficiencies(効率性), and whoever is winning shifts from who is in the lead to who can cut costs to the bone(キリキリまで). The last major technology this happened with was electric vehicles, and now it appears to be happening to AI.
The commoditization of AI is one reason that Anshu Sharma, chief executive of data and AI-privacy startup Skyflow, and a former vice president at business-software giant Salesforce, thinks that the future for AI startups—like OpenAI and Anthropic—could be dim(薄暗い/ははっきりしない). While he’s optimistic that big companies like Microsoft and Google will be able to entice(引き付ける) enough users to make their AI investments worthwhile, doing so will require spending vast amounts of money over a long period of time, leaving even the best-funded (かなり資金力のある)AI startups—with their comparatively paltry(微々たる) warchests(軍資金)—unable to compete.
成熟した技術とは、誰でもが作れる技術のことである。よほどのブレークスルーがない限り(ほとんどないだろうが)、性能的にはみんな同程度なのだ。だから企業は効率性を追求することになる。勝負は、どこの企業が先頭に立つかというところから、どこがコストを徹底的に削減できるかへというところへとシフトしていく。今までは電気自動車でこのようなコスト競争が起こっていたが、今度はそれがA.I.で起こっている。
A.I.の一般商品化競争が起こっていることは、データとAIプライバシーを扱う新興企業であるスカイフロウの最高経営責任者であり、ビジネスソフトウェア大手セールスフォースの元副社長であるアンシュー・シャルマが、オープンAIやアンソロピックのようなAI新興企業の将来は暗いかもしれないと考えている一つの理由になっている。同氏は、マイクロソフトやグーグルのような巨大企業はAIへの投資に見合うだけのユーザーを獲得でき、長期にわたり、そうし続けられるだけの莫大な資金力が必要であると楽観視しているのだが、一方でAIスタートアップ企業は、いくら資金力があったとしても、(巨大企業にくらべれば)その微々たる資金では、とても巨大企業には太刀打ちできないと考えている。
👩スタートアップのAI企業が巨大企業に飲み込まれていく動きはすでに起こっているようです。インフレクションAIの共同創業者は3月にマイクロソフトに移り、画像生成AIツール「ステイブル・ディフージョン(Stable Diffusion)」を開発したスタビリティ AIのCEOは、3月に突然退社したそうです。
次の小見出しはこれです。
Today’s AI’s remain ruinously(破滅的に) expensive to run
今日のAIを使っていくのは依然として破滅的に高価だ
👩💻内容の予測
● AIに関するコストについての内容だろう。
● 利用を続けるには破滅的な費用がかかるとどういうことが起こるかが書かれているのだろう。
An oft-cited (引き合いに出される)figure in arguments that we’re in an AI bubble is a calculation by Silicon Valley venture-capital firm Sequoia that the industry spent $50 billion on chips from Nvidia to train AI in 2023, but brought in only $3 billion in revenue.
That difference is alarming(憂慮すべき), but what really matters (本当に大切なこと)to the long-term health of the industry is how much it costs to run AIs.
Numbers are almost impossible to come by(手に入れる), and estimates vary widely(差が大きい), but the bottom line is that (要するに~だ)for a popular service that relies on (頼る)generative AI, the costs of running it far exceed the already eye-watering(目から涙が出るほどの) cost of training it. That’s because AI has to think anew(新たに)every single time something is asked of it, and the resources that AI uses when it generates an answer are far larger than what it takes to, say(例えば), return a conventional (従来の)search result. For an almost entirely ad-supported(広告収入で支えられている) company like Google, which is now offering AI-generated summaries across billions of search results, analysts believe delivering AI answers on those searches will eat into (食いつぶす)the company’s margins.(限界収益)
In their most recent earnings reports, Google, Microsoft and others said their revenue from cloud services went up, which they attributed(~からきている) in part to those services powering other company’s AIs. But sustaining that revenue depends on other companies and startups getting enough value out of AI to justify continuing to fork over (多額の金を支払う)billions of dollars to train and run those systems. That brings us to the question of adoption.
AIバブル論争でよく引き合いに出される数字がある。それは、シリコンバレーのベンチャーキャピタル、セコイアが2023年にAIを育てるためにエヌビディアから500億ドルで半導体チップを買ったが、収益はわずか30億ドルにとどまったという計算結果だ。
(投資と収益の)この差は憂慮すべきであるが、業界の長期的な健全性にとって本当に重要なのは、AIを動かすためにどれだけコストがかかるかということだ。
数字を出すのはほとんど不可能だし、見積もりもさまざまだ。しかし、要するに、生成AIに頼る一般的なサービスにとって、その運営コストは、すでに目を覆いたくなるようなAIトレーニングのコストをはるかに上回るということだ。なぜなら、AIは何かを尋ねられるたびに新たに考えなければならず、AIが答えを生成する際に使用するリソースは、例えば従来の検索結果を返すのに必要なリソースよりもはるかに大きいからだ。グーグルのようにほぼ完全に広告に支えられている企業は、現在何十億もの検索結果に対してAIが生成した要約文を提供しているのだが、検索に答えてAIの回答を提供するようにすると、その会社の(存続に必要な)限界収益はそれにすべて費やされることになるとアナリストは考えている。
直近の決算報告で、グーグルやマイクロソフトなどは、クラウドサービスからの収益が増加したと発表した。この収益は一部他の会社のAIを支援するサービス事業のお陰を被っている。しかし、こうした収益を維持できるかどうかは、他の企業や新興企業がAIから十分な価値を引き出し、このシステムの訓練や運用に何十億ドルもの資金を提供し続けることを納得できるものにできるかどうかにかかっている。そうだとすると、A.I.の導入のあり方について疑問が湧いてくる。
会社ばかりでなく、自治体でもAIを導入しようとしている動きがあります。資金が潤沢な自治体のみしかAIを導入することができないとなると、日本の場合、特に地方の財政難に苦しんでいる自治体はますます時代に取り残されることになります。
ところで、都知事選で突然出現した「AIゆりこ」っていくらくらいかかったのでしょう?都民の税金で作られたとすれば、他の候補者にとっては正しい税金の使い方ではないと感じるでしょうね。性能としては一方的なことしか伝えられていないという辛口評価を受けているようですが・・・。
明日もAIの続きです。
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