高校生が書いた論説文ライティングの入賞作品がこれです!
ニューヨークタイムズでは、Learning Networkというサイトで、主に高校生に様々な学習の機会をコンテストの形で与えています。
特にライティングのコンテストは様々なスタイルがあり、その中の一つがエディトリアル・ライティング(Editorial Writing)コンテストです。エディトリアル(論説文)・ライティングは、自分がジャーナリストになったような気持ちで、真実や主張を伝えるにはどうすればよいかを考えながら書くものです。
指導はニューヨークタイムズが行っています。例えば昨日の動画のように、プロのライターがライティングの鉄則を教えます。
学校の先生たちにも教材になるような資料を与えるなど、ニューヨークタイムズが本来の報道の枠を超えて、若者の教育にいかに貢献しているかが分かります。ちなみに第10回目の学生による論説文コンテストでは、全世界から 12,592作品の応募がありました。入選作として11作品が選ばれています。
今日読むのは、16歳のアイオワ州の高校生、チャンタル・デ・マセド・オーレンステイン(
Chantal de Macedo Eulenstein)さんの作品です。(原文はこちらからです。)
リーディングの目的は・・・
★高校生が書いた入賞論説文を読んで、どこが素晴らしかったのかを考えること
です。
Giving Up on Student Journalism Means Giving Up on Student Voices
We are honoring the Top 11 winners of our Student Editorial Contest by publishing their essays. This one is by Chantal de Macedo Eulenstein, age 16.
学生ジャーナリズムを見放すことは、学生の声を見放すことだ
学生論説コンテストの上位11名の受賞者を称え、彼らのエッセイを掲載します。これはシャンタル・ド・マセド・オイレンシュタイン(16歳)の作です。
Marcus Pennell, left, and Emma Smith display a Pride flag outside Northwest High School in Grand Island, Neb. They both worked on the school’s student newspaper, which administrators shut down. Related ArticleCredit...McKenna Lamoree/The Independent, via Associated Press
ネブラスカ州グランドアイランドにあるノースウエスト高校の外で、プライドフラッグを掲げるマーカス・ペンネル(左)とエマ・スミス。ふたりは同校の学生新聞を担当していましたが、管理者により発行が禁止になりました。
では、読みましょう。
Giving Up on Student Journalism Means Giving Up on Student Voices
学生ジャーナリズムを見放すせば、学生の声を見放すことになる
I almost gave up on student journalism this year.
My high school newspaper’s funding to print (印刷費)had been cut from $3,500 to $0, online readership (読者数)was at an all-time low(過去最低), and our once 13-member staff had been cut to eight. Next year it could be as small as two. Sixty recruitment emails had yielded(もたらした)one response: “I’m good.”
The overlooked (見過ごされている)truth is that student journalism is the rare opportunity students have to find and share their voice. Public schools are a microcosm of the America we see today — nowhere else do all groups of American society come together under a single roof and purpose. Nowhere else do we have such a perfect opportunity to tell untold stories. At its heart, the loss of student journalism means a loss of storytellers, a loss of perspective and a loss of seeing America for what it really is. Across the country student journalism is suffering. Today, 73 percent of New York City high schools don’t have school newspapers. That needs to change.
私は今年、学生ジャーナリズムをあきらめかけました。
私の高校新聞の印刷費は3,500ドル(約55万円)から0ドルに減らされ、オンライン読者数は過去最低で、13人いたスタッフは8人に減らされました。来年は2人になるかもしれません。60通のスタッフ募集のメールを送ったところ、返ってきたのは1通だけで、 「結構です。」でした。
見過ごされている真実は、学生ジャーナリズムは学生が自分たちの声を見つけ、共有すべき貴重な機会だということです。公立学校は、私たちが今日目にしているアメリカの縮図です。アメリカ社会のあらゆる集団が、ひとつの屋根の下に集まり、目的を達成できる場所は他にはありません。語られることのない物語を語るのに、これほど絶好の機会は他にありません。学生ジャーナリズムを失うことは、本質的に語り手を失うこと、視点を失うこと、そしてアメリカの本当の姿を見ることを失うことになります。全米で学生ジャーナリズムは苦境にあります。現在、ニューヨーク市の高校の73%には学校新聞がありません。これは変える必要があると思います。
Let’s face the facts — Gen Z is less inclined to (する傾向がある)read in the first place(そもそも). At the moment, less than 20 percent of teens report reading a book, magazine or newspaper for daily pleasure, while more than 80 percent report using social media every day. But Gen Z cares about the news; from climate change to school shootings (学校襲撃事件)we have proven time and time again that we are listening. So why the apathy (無関心)toward student journalism?
A part of the problem is that suppressive(抑圧的な) legislation(立法) and restrictive (制限のある)school action targets student newspapers and minimizes the idea that student journalism is the student voice. In August of last year, a Nebraska student newspaper was shut down after publishing two columns on L.G.B.T.Q. issues. This year my own newspaper told the stories of the students affected by the passage (可決)of Senate File 496 by our Iowa State Senate, which, if approved, would require teachers to inform parents of any change in student pronouns. From crafting features to covering walkouts(抗議の授業ボイコット), our newsroom of eight battled injustice.
事実に向き合いましょう。Z世代はそもそも読書傾向が低いです。現在、10代の若者のうち、毎日の楽しみとして本や雑誌、新聞を読んでいると回答したのは20%未満で、80%以上が毎日ソーシャルメディアを利用していると回答しています。しかしZ世代の若者はニュースに関心を持っています。気候変動から学校での銃乱射事件に至るまでです。私たちは(学生ジャーナリズムを通して)何度も何度も(そうした問題に)耳を傾けているということを示してきました。では、なぜ学生ジャーナリズムに関心が持たれないのでしょうか?
問題のひとつは、抑圧的な法律や制限的な学校の措置が学生新聞を標的にし、学生ジャーナリズムが学生の声であるという考えを抑えて軽視されるようにしていることです。昨年8月、ネブラスカ州の学生新聞がL.G.B.T.Q.問題に関するコラムを2本掲載しただけで廃刊になりました。
今年、私が自分で発行している新聞に、アイオワ州上院で上院ファイル496が可決によって影響を受ける生徒たちの話を書きました。この法案が承認されれば、教師は性別を変更した生徒が出た場合、そのことを保護者たちに知らせる必要があるというものです。特集の作成から抗議の授業ボイコットの取材まで、私たち8人のニュースルームは不公正と戦いました。
👩"pronoun"の変更というのは、"him"から"her"に変わる、またはその反対ということです。
Yet it is social media, not student journalism, that Gen Z sees today as the opportunity to share their voice. The problem is, no one can tell a story in 60 seconds — at least not a full one.
We deserve the opportunity to share our voices fully, without restriction. As student journalists, we deserve more. More funding, more education, more workshops, more attention.
So no, I’m not giving up. Two-member staff or not, next year I will be part of our school paper, where, as an editor, I will continue to ask the school board for funding. I will never stop fighting for the future of student journalism. For the future of storytelling.
Neither should you.
しかし、Z世代が今日、自分たちの声を伝えることができると考えているのは、学生ジャーナリズムではなくソーシャルメディアなのです。問題は、誰も60秒で話はできないということです。少なくともすべては語れません。
私たちには、みんなの声を制限なく、完全に共有する機会が与えられるべきです。学生ジャーナリストとして、私たちにはもっと多くのものが与えられるべきです。より多くの資金、より多く学ぶこと、より多くのワークショップ、より多くの注目が与えられるべきます。
だから、私はあきらめません。スタッフが2人になろうがなるまいが、私は来年も学校新聞に参加し、編集者として、教育委員会に資金援助を求め続けます。私は学生ジャーナリズムの未来のために戦うことを決して止めません。語りの未来のために。
みなさんもあきらめないでがんばりましょう。
👩引用資料がついています。
Works Cited
Akin, Katie. “Iowa Senate Passes Sprawling Schools Bill to Desex Libraries, ‘Put Parents Back in Charge.’” Des Moines Register, 23 March 2023.
Medina, Eduardo. “Nebraska School Shuts Down Student Newspaper After L.G.B.T.Q. Publication.” The New York Times, 30 Aug. 2022.
Sliwa, Jim. “Teens Today Spend More Time on Digital Media, Less Time Reading.” American Psychological Association, 20 Aug. 2018.
Zimmerman, Alex. “73% of NYC High Schools Don’t Have a Newspaper. Efforts Are Growing to Fill in the Gaps.” Chalkbeat New York, 23 Nov. 2022.
明日も入賞した論説文をご紹介します。
Englishラボ
MisTy