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MisTy

受賞作品の3つ目のタイトルは、The Vanishing Commons (消えた共有地)です。


見たところ、手書きのメモのようで、これが「アート作品?」と思うようなものでした。


芸術作品というのは、作者のアイデアや解説を聞いたり読んだりして、初めて作品の見方がわかるものがあります。


今日は、そういった意味でじっくり作者の感想を読みたいと思います。



The Vanishing Commons 


Emma Sumrow, The Vanishing Commons. Ink on paper and Adobe Photoshop.

‍エマ・サムロー作『消えゆく共有地』。紙にインクで描き、アドビ フォトショップを使用。


👩‍🏫作品の下は余白になっていて、メッセージが書き込めるようになっています。


"This drawing maps the qualities of public spaces that feel nearly extinct (絶滅している)in New York City today: clean air, nature’s soundscape, mutual stewardship, and shared access across species. Though the prompt asked for a vision of shared space, I was drawn to what this land once embodied: a space of true reciprocity(相互関係), not extraction(搾取), shared not only among people but also between humans and non-humans. 


この作品は、今日のニューヨーク市の公共空間でほぼ絶滅したと感じられるものの関係を説明しています。清浄な空気、自然の音風景、相互のコントロール、そして種を超えた共有アクセスなどです。共有空間のビジョンを求められたものの、私はこの土地がかつて体現していたものに惹かれました——搾取ではなく真の相互関係の場であり、人間同士だけでなく人間と非人間の間でも共有されていた空間なのです。


I asked myself: where is the "here" I’d truly wish someone were? In response, I drafted the elements of my ideal public space, realizing many once existed in symbiotic(共生の) relation. Rather than depict a manicured(整える) or idealized landscape, I chose to represent the space as a word map that foregrounds(重視する) interdependence(相互依存性) and resisting dominant narratives of human control. 'Wish This Were Still Here' became both a memory and a call: for public spaces that hold ethical, ecological, and collective meaning beyond surface appearance."


私はこう自問しました。誰かにいてほしいと心から願う「ここ」とはどこのことだろう?その問いに応えるべく、理想の公共空間に必要なものを考えました。そしてかつて多くの要素が共生関係にあったことに気づきました。整えられた風景や理想化された景観を描く代わりに、相互依存性を前面に押し出し、人間の支配の物語に抵抗する空間を、言葉の地図として表現することにしたのです。その記憶や呼びかけが『これがまだここにあってほしい'Wish This Were Still Here'』というスローガンになりました。つまり、表層的な外観を超えて、倫理的・生態的・集団的な意味をもつ公共空間を求める記憶と呼びかけです。



👩‍🏫ここからは、作者のプロフィールです。


Emma Sumrow (she/her) is a citizen of the Chickasaw Nation(アメリカ先住民の部族) and a transdisciplinary(学際的) architectural designer, researcher, and academic(教員). Her work explores intersections of indigeneity(先住性), climate, psychology, and policy. Based in New York, she teaches at Columbia GSAPP and previously worked as an architectural designer at Bernard Tschumi Architects.


エマ・サムロウ(she/her)はチカソー族の市民であり、学際的な建築デザイナー、研究者、教育者である。彼女の研究は先住民性、気候、心理学、政策の接点をさぐることである。ニューヨークを拠点にコロンビア大学GSAPPで教鞭を執っているが、以前はバーナード・チュミ・アーキテクツで建築デザイナーとして勤務していた。


 In 2025, she founded studioSMRW to investigate intervention(介在)  typologies(類型学) through scalar experimentation スカラー実験---注あり). Sumrow’s work has appeared in ELLE Décor, and her research will be presented in the upcoming International Conference on Adaptive Reuse. She holds a Master of Architecture from Columbia University and a Bachelor of Environmental Design from TexasA&M University.


2025年には、スカラー実験を通じた介在の類型を研究するためスタジオSMRWを設立。サムロウの作品は『ELLE Décor』に掲載され、今後は国際適応再利用会議で研究発表を予定している。コロンビア大学で建築学修士号、テキサスA&M大学で環境デザイン学士号を取得。


👩‍🏫"scalar experimentation"(スカラー実験)とは、建築や都市計画、デザインなどの分野で使われる概念で、建築物、家具、都市空間など、対象のサイズや範囲がどのように人間の行動や空間の使われ方に影響するかを観察する実験のことです。



👩‍🏫受賞作品を見て、その作者の感想を読むと、いくら誰でも応募できるとはいえ、とても入賞することはないな、と思ってしまいそうです。(T-T)


次回、佳作も覗いてみようと思います。


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