低所得者住宅建設の迅速化に対して市民は賛成、しかし市議会は反対。なぜ?
昨日の6sqftの記事の続きになります。今日は低価格住宅建設時迅速化について、市議会が提案の多くに反対していることについてです。
本文に入る前に、ここで問題になっている、低価格住宅建設に関する4つの提案のうち、提案2について、その内容を見ておきたいと思います。
Question 2: Fast Track(迅速な対応) Affordable Housing to Build More Affordable Housing Across the City
This proposal establishes faster public processes for developing affordable housing. It first creates a new action(新しい行動) within the Board of Standards and Appeals to grant(許可する)zoning relief(緩和) for publicly-financed affordable housing projects.
The measure(方策) will introduce a new, streamlined(効率化する) public review process for applications that deliver affordable housing in community districts that have built the least.
提案2:手頃な価格の住宅を迅速に建設し、市内全域でより多くの手頃な価格の住宅を供給する
Yes (賛成) ⇒ 51.3%
No (反対) ⇒ 41.7%
この提案は、手頃な価格の住宅開発のための公的手続きをより迅速に進めるものです。まず、公的資金による手頃な価格の住宅プロジェクトに対してゾーニング規制の緩和を認める新たな権限を基準上訴委員会内に創設します。
この措置により、住宅供給が最も遅れている居住地区において、手頃な価格の住宅の申請案件を対象とした、新たな効率化された公的審査プロセスが導入されることになっています。
👩🏼🏫低所得者住宅の建設が速く進むということは一見いいことのように思えるけれど、自分の選挙区でそうした住宅が多く建設されることが決定されると地価が下がる、環境がかわるなど、心配する市民が反対するでしょう。建設の決定権限を市議会ではなく新しく創設される委員会が持つとなれば、住民の意向に関わらず地域の風景が変わってしまうかもしれません。そうした選挙区から選ばれた市議会議員としては、自分は選挙区民の代表なのに市民の意見が届かないことに無力感を感じるでしょうし、次の選挙に当選できないかもしれないという心配も生まれるでしょう。
The City Council opposed the measures
市議会はこれらの措置に反対した
The City Council firmly opposed three of the four housing ballot questions, arguing that the measures would significantly weaken its authority(権限) over land use decisions. The body(組織) did not take a position (判断する)on Question 5.
市議会は、住民投票の中の4つの住宅関連住民投票案のうち3つに強く反対し、これらの措置が土地利用決定に関する議会の権限を著しく弱めると主張しました。議会は第5項については立場を表明しませんでした。
In the days leading up(~につながる) to Tuesday’s election, the Council launched a campaign urging New Yorkers to vote “no” on the proposals, sending thousands of mailers to city households warning that the measures would “take away your power” and result in “less affordable housing and more gentrification,” according to Crain’s.
火曜日の投票日を前に、議会は提案への反対投票を呼びかけるキャンペーンを開始しました。クレインズ誌によれば、数千通の郵便物を市内世帯に送付し、これらの措置が「住民の権限を奪い」「手頃な住宅の減少とジェントリフィケーション(富裕層が都心に流入する結果、低所得者層が家賃の低い場所を求めて中心部から離れていく現象)の加速」をもたらすと警告し、提案に対し“no”に投票するよう要請しました。
👩🏼🏫ジェントリフィケーションについてはこちらでとりあげています。
フルトンハウスが壊される?やはりジェントリフィケーションの影響か? - Talking New York
フルトンハウスの記事を読む。デブラシオ市長は本当にこれが最善策だと思っているのか? - Talking New York
For the first three questions, the Council said that the measures “take away communities’ power to ensure proposed development includes more affordable housing and investments to support the needs of their neighborhoods, like parks, public transit, and schools.”
最初の3つの提案について、市議会は「この措置は、提案された開発計画に、より多くの手頃な価格の住宅と、公園、公共交通機関、学校など地域のニーズを支える投資が含まれることを確実にしようとする地域の権限を奪うものだ」と言っています。
Ethics(倫理) experts have since told Crain’s that the campaign may have violated a city law prohibiting the use of government resources to influence voters on a referendum (住民投票)
倫理専門家はその後クレイン誌に対し、今回の宣伝活動が住民投票で有権者(の判断)に影響を与える政府資金利用を禁じる市の条例に違反した可能性があると指摘しました。
In response to the ballot measures’ approval, City Council spokesperson Benjamin Fang-Estrada issued a statement calling the proposals “misleading” and warning that they would “weaken democracy.”
投票案の可決を受け、市議会広報担当ベンジャミン・ファン=エストラーダは声明を発表し、提案内容を「判断を誤らせるものだ」と批判するとともに「民主主義を弱体化させる」と警告しています。
“New Yorkers desperately(必死に) need more housing that is affordable to them, but the solution isn’t to take away communities’ power to secure more affordability and essential public goods from developers and the City,” Fang-Estrada said.
ファン=エストラーダ氏は「ニューヨーカーは手頃な価格の住宅を切実に必要としている。解決策は開発業者と市から、さらに手ごろで重要な公共のものを確実に自分たちのものにしようという地域の力を奪うことになってはならない」と述べました。
He added: “These misleading ballot proposals permanently change the City’s constitution to weaken democracy, lasting beyond the next mayor when we inevitably(必然的に) have a mayor who is bad on housing, equity, and justice for communities.”
彼はさらに次のように述べています。「これらの判断を誤らせる住民投票提案は、民主主義を弱体化させるために市の憲法を恒久的に変えるものであり、地域社会のための正しい住宅政策、公平性、公正さにおいて問題のある市長が必然的に誕生し、次期市長の任期が終わったあとも続く。」
👩🏼🏫ニューヨーク市には、市の"constitution"(憲法)があります。
Jim Whelan, president of the Real Estate Board of New York (REBNY), whose members mostly opposed Mamdani’s campaign, issued a statement congratulating the mayor-elect and pledging(誓う) to work with him to address the city’s housing challenges, according to Crain’s.
クレインズ誌によると、ニューヨーク不動産協会(REBNY)のジム・ウィーラン会長は、同協会の会員の大半がマムダニ氏の選挙運動に反対していたにもかかわらず、次期市長を祝福する声明を発表し、市の住宅問題に取り組むために協力することを約束しました。
“REBNY is prepared to work with the next mayor to address the issue of housing affordability and other challenges facing our city,” Whelan said.
「REBNYは次期市長と連携し、住宅の価格問題や市が直面するその他の課題に取り組む用意がある」とウィーランは述べています。
👩🏼🏫民主主義は、必ず賛成と反対の声の両方が出てきます。どちらかが絶対に正しいということはなく、賛成と反対の差がかなり小さいこともあります。そういった状況では、双方が納得できる解決策を出すためには、当然時間がかかるでしょう。
今回の住民投票は、低価格住宅の建設を迅速に進めるためのものでありながら、一方で一部の民意が反映されない危うさもあることが分かりました。6sqftは不動産情報サイトとして開発賛成側に立つのが当たり前と思いがちですが、今回の記事では開発を迅速に進めるための住民投票となりうる危うさに注目したと言えると思います。
Englishラボ
MisTy