Talking New York --- New Yorkで見つけた英語

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ジョーダン・ニーリー事件とはどんなものだったか?

昨日のブログで、問題になっているのは、精神障害をもっているホームレスを強制的に入院させるということです。


今年5月にニューヨークの地下鉄で起こった、事件について、ウィキペディアより、そのいきさつを引用します。


2023年5月1日、米国ニューヨーク市マンハッタンで、ホームレスの黒人男性ジョーダン・ニーリーさん(30歳)が地下鉄車両内でトラブルを起こし、元海兵隊員の白人ダニエル・ペニーさん(24歳)に首を絞められて殺害されました。


ニーリー氏は発車直前の2番街駅で電車に乗り込み、「腹が減った」「仕事が必要だ」「刑務所に入るのは怖くない」「死ぬ準備はできている」と叫び始めたと報道されています。


この事件を目撃したフリージャーナリストのフアン・アルベルト・バスケス氏によると、ニーリーさんは上着を脱いで床に激しく投げつけたため、他の乗客は彼から離れたとのことです。その後、ペニーさんは背後からニーリー氏に近づき、首を絞めました。


ペニーさんがニーリーさんから手を放し、不明な時間が経過した後、ニューヨーク市警(NYPD)の警官が到着し、心肺蘇生を実施。その後まもなく、ニューヨーク市消防局がニーリーさんを病院に搬送しました。


ペニーさんはニューヨーク市警に事情聴取され、数時間後に無罪放免。事件の翌日、彼の身元はマスコミに知られましたが、その後数日間、彼の名前は公表されませんでした。その後、ペニーさんの逮捕と殺人罪での起訴を求める抗議デモが続発。元海兵隊員たちは独自に、すべての新兵がその潜在的な致死性を教えられており、彼の練習と訓練に基づけば、ニーリーさんが意識を失った時点でペニーさんは知っていて、彼を解放すべきだったと述べています。


ニーリーさんの死は5月4日に頸部圧迫による殺人と断定されました。5月11日、ペニーさんは第2級過失致死罪で起訴されました。翌日、警察に出頭した彼は罪状認否を受け、10万ドルの保釈金で釈放となり。6月14日、大陪審によって正式に起訴されました。


6月28日の審問で起訴状が公開され、過失による殺人罪が追加されたことが明らかになりました。ペニーさんは両罪について無罪を主張。有罪判決を受けた場合、ペニーさんは過失致死罪で5年から15年の懲役刑となります。



昨日のamNYmetroの記事は、エリック・アダムズ市長のホームレス対策についての説明の報道に続き、次のように問題を投げかけています。


Preventing needless death
不必要な死を防ぐために


The list, which is managed by the city’s Coordinated Behavioral Health Task Force, is not made public, though is shared between relevant agencies, such as the NYPD and the Department of Homeless Services. Of the 54 people diverted off the streets this year, 14 are currently hospitalized, and 40 others have been moved into some form of housing, a City Hall spokesperson said.


(重度の精神疾患のあるホームレスの)リストは、ニューヨーク市警やホームレス・サービス局などの関係機関間で共有されていますが、市の調整行動衛生タスクフォースによって管理されていて、一般には公開されていません。市役所の広報担当者によると、今年、路上生活から施設に送られた54人のうち、14人が現在入院中で、他の40人は何らかの形の住居に移ったということです。


Notably, prior to his death, Jordan Neely had been named on the city’s list of 100.


特筆すべきは、死亡したジョーダン・ニーリーの名前が市の100人リストに載っていたことです。


Neely, a mentally ill homeless man, was killed by Marine veteran Daniel Penny earlier this year after he began erratically shouting aboard a Manhattan F train last May — sparking a widespread conversation about the city’s treatment of people with mental disorders.


ニーリーさんは精神障害を持つホームレスでした。昨年5月にマンハッタンのF列車内で常軌を逸して叫び始め、その後、今年初め海兵隊を退役したダニエル・ペニーさんに殺害されました。


Adams’ involuntary hospitalization policy is meant to get individuals like Neely off the streets and subways, and force them into treatment before they become involved in dangerous situations.
 
アダムズ市長の、(重度の精神疾患のあるホームレスを)強制的に入院させるといった政策は、ニーリーさんのような人物を路上や地下鉄から離して、危険な状況に巻き込まれる前に強制的に治療を受けさせることを目的としています。


“Over the last several years, Jordan interacted with many city agencies, and community based organizations and providers,” Adams said following Neely’s death. “He had various encounters with the criminal justice system and was provided services to help him live safely in the community. Those efforts were not enough.”


アダムズ市長はジョーダン・ニーリーさんの死の後、次のように述べました。「過去数年間、多くの市の機関や地域の組織やボランティアがジョーダンに関わっていました。」「彼はたびたび刑事司法に触れる行動があったので、地域社会で安全に生活するためのサービスが提供されていました。それらの努力が十分ではなかったということです。」


Unlike Neely’s case, the city is aiming to proactively take well-known homeless individuals with mental issues off the streets before situations have a chance to escalate.


ニーリーさんのケースとは異なり、市はよく見かける精神的な問題を抱えたホームレスを、状況が悪化する前に路上から連れ出すことを目指しています。


Allowing the forced treatment upon the mentally ill has already led to more-substantial results, as the 54 individuals shepherded into treatment this year marks a 145 percent increase over the prior year.


精神障害者に強制的な治療を許可することは、すでに実質的な結果をもたらしています。今年、54人を治療を受けるまで指導し、その割合は前年比145%増です。



A controversial tactic
物議を醸す戦術


Involuntary hospitalizing people is a controversial tactic, though, as opponents argue the measure is a violation of an individual’s civil liberties.


しかし、自発的ではない形で人々を入院させるということが物議を醸しています。この措置に反対する人々は、このやり方は個人の自由を侵害するものだからと主張しています。


“Forcing vulnerable people into treatment was an old, failed strategy,” said ACLU lawyer Donna Lieberman. “Despite the Mayor’s victory lap, a policy that criminalizes New Yorkers experiencing mental health challenges and homelessness is not helpful.”


ACLU(American Civil Liberties Union---米国自由人権協会)のドナ・リーバーマン弁護士は、次のように言っています。「弱い立場の人々に強制的に治療を受けさせるのは、古い、失敗したやり方です。市長は成功していると言っていますが、精神衛生上の不健康状態やホームレス状態にある市民を犯罪者にする政策は助けになりません。」


Opponents of Adams’ involuntary hospitalization plan attempted to halt the idea in federal court, claiming it robs people of due process, but a U.S. District Court Judge denied their motions last December, and allowed Adams’ Administration to employ the tactic.


アダム氏の強制入院計画に反対する人々は、それが適正な手続きを奪うものだとして、連邦裁判所でこの考えを止めようとしましたが、連邦地方裁判所の判事は昨年12月に彼らの申し立てを却下し、アダムズ氏の政権がこの戦術を採用することを認めました。


Still, civil rights activists like Lieberman have blasted the concept, claiming it gives unchecked authority to the government, and could potentially harm minorities in a disproportionate manner.


それでも、リーバーマン氏のような公民権活動家たちは、このような考え方は政府に歯止めのない権限を与え、マイノリティに過度の損害を与える可能性があると非難しています。


“As with many of the Mayor’s policies involving people who are unhoused and facing mental health challenges, this program has lacked transparency, data collection, or public reporting from the jump,” Lieberman said. “The Administration offered no data on its implementation, including whether people of color are being disproportionately targeted.”


リーバーマン氏は次のように述べています。「家に住めず、精神衛生上の問題に直面している人々に関する市長の政策の多くがそうですが、この施策には透明性、データ収集、そもそも公的報告が欠けています。行政は、有色人種が不当にターゲットにされているかどうかを含め、この施策実施に関するデータを提供していません。」




以下はメディアの見出しと画像です。


ニューヨークタイムズ


What We Know About Jordan Neely’s Killing
ジョーダン・ニーリー殺害についてわかっていること


Daniel Penny choked Jordan Neely to death on a New York City subway train on May 1. Mr. Penny has been charged with second-degree manslaughter.
ダニエル・ペニーさんは5月1日、ニューヨークの地下鉄車内でジョーダン・ニーリーさんの首を絞めて殺害。ペニーさんは第2級過失致死罪で起訴された。


Updated May 13, 2023




ニューヨークタイムズ



They Watched Jordan Neely Die. Did They Have a Duty to Intervene?
ジョーダン・ニーリーさんの死を見届けた人々。彼らは介入する義務があったのか?

New York does not require bystanders to act when someone is in danger, but the killing on the F train has residents debating when they should step in.
ニューヨークでは、誰かが危険にさらされているときにそばにいる者が行動することを義務付けていない。しかしF線での殺人はいつ関わるべきかについて市民の議論を呼んでいる。





ガーディアン


New York mayor and police criticized for lack of action over Jordan Neely’s death
ジョーダン・ニーリーさん死亡事件、ニューヨーク市長と警察の不作為を批判


Medical examiner confirmed on Wednesday that 30-year-old Black man died from compression to the neck
水曜、監察医が30歳の黒人男性の死因は頸部圧迫によるものと確認



The Guardianより



ウォールストリート・ジャーナル



Jordan Neely Killing Shows Limits of New York City’s Push to Make Subway Safer
ジョーダン・ニーリー殺害事件が示すニューヨーク市の地下鉄安全化推進の限界


Democratic Mayor Eric Adams has called for more social-service programs in recent weeks
民主党のエリック・アダムズ市長はここ数週間、社会サービスプログラムの充実を呼びかける。




ティーンヴォウグ(teenvogue)


Jordan Neely Killing in NYC Subway Shows No One's Safe Unless We All Are
ジョーダン・ニーリーさんがニューヨークの地下鉄で殺害された事件は、私たち全員が安全でない限り、誰も安全ではないことを示しています。


In this op-ed, news & politics editor Lexi McMenamin connects recent killings to the targeting of progressive movements.
この論説では、ニュース&政治編集者のレクシー・マクメナミンが、最近の殺人事件と進歩的運動の標的とを結びつけています。




全体的にニューヨーク市民やメディアは、「貧困」を問題視しているように感じました。


ホームで電車を待っている人を線路に押し出した人はどうなりましたか?


ニューヨークと同じような事件が日本では絶対起こらないということはないでしょう。
もし、同様の事件が日本で起こったら、どうなるでしょう?


Englishラボ
MisTy

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