Talking New York --- New Yorkで見つけた英語

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映画『パターソン』に出てきた、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ がプラークに!

今日読むプラークの英文は、美しいバラに囲まれた一遍の詩です。プラークには、よく詩が書かれていますが、日本の英語学習の中では教材としてとりあげられることは、まずありません。理由はいろいろあると思いますが、まず、文法的に説明が難しいこと、それから日本語訳が難しいことです。


ほとんどの詩が韻を踏んでいたり、細かい規則があったりするので、それらの学習は英語の学習というより、文学としての学習になります。


英語圏の「国語」("English Language Arts"という言い方があります。)では、必ず詩をとりあげて、生徒に解釈させたり、古語を学ばせたり、背景を学習させたりします。


今日のプラークのウィリアム・カーロス・ウィリアムズ (William Carlos Williams)は、映画の『パターソン』(PATTERSON)に出てきた実在した詩人の名前です。実は、いつもこのブログをお読みいただいているmethodさんが、この映画を教えてくださったのです!早速、アマゾンプライムで見て、とても感動しました。ブログの場をお借りしてお礼を申し上げます。



『パターソン』本予告 8/26(土)公開


映画の中に織り込まれている詩は全部写しました。日本人が出てきたことにも驚きましたが、詩というものが、ニュージャージー、パターソンに住む多くの人の心の中にひとつの場所を持っていることにも感動しました。


この町はウィリアム・カーロス・ウィリアムズ の出身地です。町の名前と同名の主人公はバス運転手で、いつもノートを持ち歩き、詩をノートにつづっています。その詩が映画の画面に映し出されるのです。彼のノートに書かれた文字で。そして彼の朗読が入ります。美しい町の情景と共に、それだけで、詩の世界ができあがります。


日本では、正岡子規の生まれた松山市は、市民をあげて俳句づくりが盛んだと聞いたことがあります。それと似ているかもしれません。イギリスのT.S.エリオットに比肩するほどの、アメリカを代表する詩人と称される、ウィリアム・カルロス・ウィリアムズを生んだニュージャージー州ラザフォードも、(映画の中では「パターソン」という町の名前になっています。)どこかデジャブを感じさせます。


その、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩がこれです。



The rose fades
and is renewed again
by its seed, naturally
but where


save in the poem
shall it go
to suffer no diminution
of its splendor
- William Carlos Williams (1883- 1963 ) "Poem"

薔薇は色あせる
しかし再びよみがえる
自然に種になって
でもその場所はどこだ


詩の中で薔薇を詠おう
どこで咲こうと
失う恐れはない
その豪華さを
ウィリアム・カルロス・ウィリアムズ (1883- 1963 )  『ポエム』


映画の中で、最後に出てきた日本人が、自分は詩を日本語で書いている、翻訳はしない。翻訳をするということは、レインコートを着てシャワーを浴びるようなものだ、と言っていました。


では、映画の中に出てきた、バスドライバーの主人公の詩を、2編写します。
(レインコートを着てシャワーを浴びさせちゃってごめんなさい。なるべく英語だけ読んでね。)


The Run          運転


I go through                             僕は走り抜ける
Trillions of molecules     何兆もの分子の中を
That move aside       その分子は脇へよける
To make way for me     僕に道を作るためだ
While on both sides     でも両側には
Trillions more        さらに何兆もの分子が
Stay where they are     そこにあるのだ


The windshield wiper blade    車のワイパーが
Starts to squeak         きしみだす
The rain has stopped       雨が止んだんだな
I stop              ぼくは止まる


On the corner          角に
A boy             一人の少年
In a yellow raincoat       黄色いレインコートを着ている
Holding his mother’s hand    お母さんと手をつないでいる



The line              歌詞


There’s an old song         一つの歌がある
My grandfather used to sing     僕のおじいさんがよく歌っていた
That has the question,        そのなかに
“Or would you rather be a fish?”   それとも魚になりたい?と訊くところがある


In the same song          同じ歌の中に
Is the same question         同じ問いがある
But with a mule and a pig,      でもそれは、魚じゃなくて、ラバや豚
But the one I hear sometimes   けれど僕の頭の中でときどき聞こえるのは  
In my head is the fish one      それとも魚になりたい?
Just that one line          その一行だけ
Would you rather be a fish?     それとも魚になりたい?


As if the rest of the song       その歌に
Didn't have to be there       まるで他の歌詞がいらないかのように


Englishラボ
MisTy

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